子ども達に発表をさせるためには、ある程度の「強制力」を働かせることは初期の段階では必要です。
「発表せざるをえない状況」を作るのです。
ではその状況をどう作るのか?
4月の学級開きからお話していますが、いつでも始められるので安心してください。
初期段階の指導方法
私は4月の授業開きに、「こんなクラスにしたい」という所信表明の後に、必ず短い時間の授業を行います。
この授業は別に難しい授業をするのではなく、前学年の知識理解の部分の復習を行います。
例えば6年の担任を持った場合は5年の社会で学んだ、「六大陸三大洋」
5年の担任ならば、「都道府県」など。
六大陸三大洋が書かれている部分は隠して世界地図を子どもたちに見せます。
そして
「全員起立」
「この六大陸、三大洋の中で、1つでも言えるものがある人は座りなさい」
1つであるならばほとんどの子どもは座ることができます。
もし、1つも分からない子がいる可能性があるならば
「きちんとわかっていなくても、少しでも『これだったかな?』と思えれば座ってよし」とします。
そしてこの後の挙手を求める聞き方がポイントの1つ。
「1つでも分かったという人?」と聞くのです。
1つでも分かったから全員が座っているので、私のこの質問に対しては全員の手が上がらなけばおかしいのです。
これが「全員が発表せざるを得ない状況をつくる」です。
よく発言を求める時に、
- 「発表してくれる人?」
- 「自分の考えが言える人?」
と聞く先生を見かけます。
この聞き方だと、
「発表したくない子」「自分の考えが言えない子」は手を挙げなくてよくなります。
暗に「言えない子は言わなくていいよ」というメッセージを与えているのです。
起立させる以外に、考えや答えをノートに書かせる方法も使います。
その場合は「1つでもノートに書けた人?」と聞きます。
以上のことを4月の学級開きで行った際の子供たちの反応はその年によって違いました。
- 一発で全員の手が挙がる。
- 数人が手を挙げていない。
- 去年から引き続き、よく発表する子どもしか手があがらない
私の経験から言うと「3」はほぼなかったです。新学年の初日、やはり「今年はがんばろう」という子どもが多いためでしょう。
結果が「1」であれ「3」であれ、一度子どもの手を下させて、ここで話をします。
「今先生は『1つでも分かった人?』と聞きました。全員が座っているのだから、全員の手が挙がるはずです。手があがらない人は、わかっていないのに座っている人ということになります。」
こうすることで、手を挙げざるをえない状況であることを説明します。
そして発表することがなぜ大切なのかも語ります。
例えば
「先生は、発表が苦手だ、いやだ、緊張する、という人の気持ちはよく分かります。しかし、AIや技術がたくさん発達している今の世の中でも、自分の意見を持ち、それを人前で話すことができるということはいつの時代にも大切なことです。その練習のために、このクラスは積極的に発表ができるようなクラスになってほしいと思っています。」
ここは先生方それぞれの思いを語ればいいと思います。教師側の都合で発表できるようになってほしいのではなく、なぜみんなの前で発表することが大切なのかを語ります。
できるだけ短く、かつ分かりやすく、です。
そしてもう一度聞きます。
「1つでも分かった人?」
ここで全員に挙手をさせます。必ず全員にです。(配慮が必要な児童がいる場合は別です。)
そして全員の手が挙がったことを価値づけましょう。このクラスはいいクラスになると。
この手立てを打つことで、子ども達の発表への意識が変わります。
ただこの1回だけでは不十分です。
私はこの
を4月、5月は徹底的に行います。
学年始めでないと、効果はない?
そんなことはありません。いつでも実践できます。
「みんなの授業のレベル、発表のレベルをこれからさらにあげていく。」
という目的と、なぜそのレベルを上げる必要があるのかの教師の語りがあればいつでも始められます。
「考えをもったら発表」「書いたら発表」という意識が子どもに芽生え、発表することが当たり前になります。
ぜひ明日から試してみてください。
ご覧いただきありがとうございました。