教科書には「ソフトボールの記録」や「卵の重さ」などを使ってこの単元を進めていきますが、
データが与えられたものなので子ども達の「主体的に考えよう!」という姿勢が出にくい。
子どもが自らデータや資料に関わり、多面的に考えようとする姿が見られる「データ活用」の授業ネタ、アイディアです。
【6年算数】「データの活用」授業ネタ・アイディア
・1人1つ、紙飛行機を作る
・作る時間は10分限定で、作り直しなし
・飛行距離で競う
・5分間投げ続けて、データをとる(10回に限定してもいいと思います)
・距離は四捨五入する(3m40cm→3m、3m50cm→4m)
・データを見て、グループ代表を1人決める
・紙飛行機大会でグループ代表が投げられるのは1回のみ
体育館など広い場所、風の影響を受けない場所で行います。
グループの中で1つ、代表の紙飛行機を選びます。この時の子ども達の様子を見ていると
・すべてのデータを合計する子
・最高記録に注目する子
・最低記録に注目する子
・安定している記録を選ぶ子
・平均をとろうとする子
など、様々な子どもが見られます。
データではぜんぜんとんでない子も「次はとばせる自信がある!」という根拠のない理由で「自分を選べ!」と言ってくる子どももいます(笑)
2つの架空の紙飛行機を提示し、そのデータを示します。
紙飛行機A 3m 11m 6m 8m 5m 10m 4m 12m 9m 5m 9m 8m 9m 6m 11m 7m 10m 7m 9m 10m 9m
紙飛行機B 5m 10m 3m 13m 2m 3m 4m 1m 10m 14m 11m 3m 29m 3m 2m 15m 11m 4m 12m 3m 13m 5m
紙飛行機Aへの気づき 9mが多い 3mが最低記録 12mが最高記録 安定している 投げた回数がBより1回少ない 10m以上が6回 など
紙飛行機Bへの気づき 差が大きい 3mが5回 最高記録が29m 5〜10mが少ない 最低記録が1m まぐれがある など
ドットプロットのようにデータをまとめるとより分かりやすく分布の様子が捉えられることに気づかせる。
ここでもう一度聞きます。
ここから話し合いです。なぜその紙飛行機を選んだのか、データを根拠に発表させます。クラスによってはこの話し合い、かなり白熱します。
・安定しているからAの方がいい
・差は激しいが、Bの方が10m以上の記録がよく出ているからBがいい
・いや、Bの1番多い記録が3mだからだめでしょ
こんな感じで話し合いが続きます。
話し合いの中で「29m」に注目した発言が出てくるとおもしろいです。
・あの29mは記録としてふくめていいの?まぐれでしょ?
・一発逆転の可能性がBにはあるということを意味してるから大事な記録
・29mが出ると言うことは、28mも27mも出る可能性があるでしょ?
・そうとは言えなくない?
・2つの紙飛行機の平均を計算すると同じだけど、あの29mを平均を計算するときにいれていいの?
などです。
様々な視点でデータを眺め、検討することが大切であることを説明する。
この授業を行った上でもう一度、
と投げかけます。するとこの授業の前に検討して決まりかけていた代表が変わるグループがでてきます。また、
「おれの飛行機の最頻値は…」
「わたしの最低値が低すぎるからだめだな。」
など、学習した用語を使った話し合いが展開されるといいなと思います。
グループ代表を1つ選ばせ、その記録を使ってドットプロットや度数分布表の書き方を指導します。
そしてその資料を使って
グループ代表の紙飛行機に名前をつけるとおもしろいです。〜号のように。
そしてこの話し合いの中で、ドットプロットや度数分布表の特徴に気づくような発言がでるといいですね。
例えば「度数分布表ではそれぞれの階級の個数がすぐに分かりますが、正確なデータはその表からは分からない」などなど。
まとめ
単元を貫いて子ども達自身のデータを使うこと、また「大会」という子ども達にとって魅力的な設定にすることで、子ども達の主体的にデータに関わる姿が見られます。
「教科書の問題は扱わなくてよいのか」と思われる先生もいらっしゃると思いますが、
紙飛行機で学んだ資料を見る視点を
「じゃあ教科書にあるデータの最頻値や平均値を見てみよう」と、活用する場面で用いたりします。
他の算数の単元のように「答えが1つ」のような問題ではありません。
しかしこの単元で育てたい「データを多面的、批判的に見る」ということは今の情報化社会で多くの情報に囲まれている子ども達にとって非常に貴重な経験になると考えています。
以上です!ご覧いただきありがとうございました!